平成12年度 調査研究結果報告


宮城県における特定化学物質取扱い作業の実態調査

主任研究者
共同研究者
宮城産業保健総合支援センター所長
宮城産業保健総合支援センター相談員
   同
   同
   同
安田 恒人
加美山茂利
小松 昭文
佐藤 吉洋
阿部 裕一

1 はじめに
 宮城産業保健総合支援センターでは平成9年以来、県内における有害作業の実態について、アンケートによる調査と作業環境測定による調査とを組合わせることによって、より現実的な実態を示し、改善の助言を行ってきた。
 平成12年度の調査研究として特定化学物質(以下、特化物と略称)をとりあげ、県内事業場の実態を調査したので報告する。
2 特化物取扱作業の統計情報
 宮城労働局の統計資料では、平成元年以降平成12年までの本県における化学物質による業務上疾病発生数は、平成4〜6年は5〜8人と多かったが、それ以外では1〜3人と比較的少ない状況である。特化物取扱い事業場は平成元年から8年までは114〜147か所であったが、9年以降は急激に減少し70〜80か所となったものの、取扱い作業者数は元年の1,900人から漸増し、10年には3,200人となり、1事業場当り作業者数は14人から45人と急激に増加し、取扱い作業場の大規模化を示している。
  特化則による特殊健康診断有所見率は平成元年から12年まで0.0〜0.6%と全国平均よりも低いが、平成9年だけは0.9%と全国並みであった。
3 調査研究の対象と方法
県内に所在する労働基準監督署、労働基準協会、作業環境測定機関、健康診断機関等の協力を得て、県内で特化物を取扱っている或は取扱っていたと思われる事業場221か所をリストアップし、これら事業場に郵送法によるアンケート調査を行った。平成12年10月1日現在の状況を記入し、11月30日迄の返送を依頼した。返送数は82通で、うち「特化物取扱いあり」としたのは57通で、有効回答率は25.8%であったが、上記統計資料での平成12年度の特化物取扱事業場数125か所に対しては45.6%の回答率となる。
 このアンケートの中で特化物取扱い作業環境測定を希望した6事業場、及び直前に測定を終了しその結果を提供された1事業場の延べ15作業場所についての測定成績、並びに換気設備及び呼吸用保護具の使用状況についても調査を行った。

図 特化物作業管理体制についての割合

4 調査研究結果と考察
1)アンケート調査について
 回答のあった57事業場のうち最も多い業種は「電気機械器具・金属製品製造業」で40%を占め、次いで「その他の製造業」21%、「その他」が17%とつづいた。「その他」は上下水道水処理、紙・パルプ加工、冷蔵倉庫業等多様であった。事業場の総労働者数は5〜1,900人に及んだが、50〜99人が25%で最も多く、次いで100〜299人が20%、500〜999人が14%であったが、1,000人以上も9%もあった。また、特化物取扱作業者も1〜9人が44%を占めたものの100〜999人も7%あり、特化物作業の大規模化が伺われた。男女比も9:1と極端に男性が多い点など、鉛や有機溶剤取扱作業と異なった実態が知られた。
 職場での特化物取扱作業管理については、特化則の周知度80%、作業主任者の選任86%、局排装置51%、化学物質の名称表示70%、化学物質の安全データシート(MSDS)の普及60%、用後処理装置の設置47%から判定する限り、かなり体制が整いつつあると思われた。
 作業環境測定を「定期的に実施」及び「実施したことあり」を合わせると64%になるが、「該当せず」が21%であることを考慮すれば、80%の実施率となる。測定結果の評価は第1管理区分98%、第2管理区分0.8%、第3管理区分1.8%であった。

2)特化物取扱作業場の測定結果について
 作業環境測定を行った15作業場所での取扱い特化物は2事業場5作業場所で弗化水素、塩化水素、硫酸、1事業場2作業場所で塩素、1事業場2作業場所でカドミウム、2事業場4作業場所でシアン化合物、1事業場1作業場所でクロム酸、1事業場1作業場所でアンモニアが使われていた。これら15作業場所での作業環境測定結果はいずれも第1管理区分であった。同時に実施した排気装置の設置状況や呼吸保護具の設備には、規模の小さい所では問題があり、規模の大きい所では各種の設備がよく整えられていた。しかし、特殊健康診断有所見率は規模の大きい所で高く、個人レベルでの作業管理や健康管理、健康教育の徹底がのぞまれる結果であった。
5 おわりに
 宮城県内の特化物取扱い作業は規模が大きくなるにつれ、それに伴った問題点も出てきていることがわかった。これらの調査研究結果を今後の保健指導に生かすべきと思われる。 本調査研究の遂行にご協力をいただいた事業場、関係機関の皆様に心から感謝致します。

表.特化物取扱作業場の作業環境測定と特殊健診結果
図 特化物作業管理体制についての割合