平成14年度 調査研究結果報告


宮城県におけるVDT取扱業務の実態調査

主任研究者
共同研究者
宮城産業保健総合支援センター所長
宮城産業保健総合支援センター相談員
   同
   同
   同
安田 恒人
加美山茂利
小松 昭文
佐藤 吉洋
阿部 裕一

1 はじめに
 宮城県内事業場におけるVDT取扱業務の実態を知るために、アンケートにより事業場及びVDT作業者個人に対する業務の実態を調査するとともに、実際の作業現場についてVDT作業環境、作業方法を調査し、とくに作業者がVDT作業に対して持つ大きな不安の要因ともなっている電磁場の強度についても測定を行った。
2 調査研究の対象と方法
 宮城産業保健総合支援センターに登録している事業場のうち、従業員 100 人以上でかなりの程度にVDT作業を行っていると思われる 234 事業場に対し、郵送によりアンケート調査票を発送し、調査への協力を求めた。その際に事業場調査用アンケート1部と共に、各事業場 5 部の個人調査用アンケートを同封し、VDT取扱者個人の記入を依頼した。個人調査票は記入後密封して事業場に提出し、事業場調査票と共に郵送で返送してもらった。回答を寄せた事業場は 103 事業場であり、回収率は 44.0 %であった。また、個人調査票の回収は 565 通で、回収率は 48.3 %であった。
 上記の事業場用調査票の中で、VDT作業場所の作業環境調査を希望するか否かをたずねた。 7 事業場から希望の申し出があり、 24 部署について事務所衛生基準規則による室内環境、及びVDT作業における労働衛生管理のためのガイドラインに基づく作業環境管理、VDT機器等及び作業環境の維持管理を調査すると共に、Wandel&Goldmann電磁場分析計を用いて作業者の位置及び機器周辺の電磁波の強さを測定した。
3 調査結果と考察
(1)事業場へのアンケート調査結果

@有効回答のあった 103 事業場の労働者の規模は 8 人から 6,500 人に及ぶが、100〜 499 人が最も多く、 67 %を占めていた。ここでVDT作業を行っている作業者は21,242人であった。

AVDT作業での使用機種で最も多いのはデスクトップ型コンピュータであり全体の60%を占めていた。ノート型パソコンは 29 %であった。作業場所としては事務室の個人の席で使われている場合が最も多く71%を占めていた。

BVDTに関する管理基準を作成している事業場は 24 %にすぎなかったが、これをもっている事業場では衛生委員会等での審議、見直し等を積極的に行っている。

CVDT作業環境について積極的に行われているのは、照明及び採光対策、換気・分煙の対策であり、作業スペース対策や騒音低減対策は行われにくい。

DVDT作業管理対策で最も行われていないのは 1 日の上限時間の設定であり、1連続作業時間、休止時間の管理は比較的実施されている。
椅子、机に対する対策も比較的多く実施されている。

EVDT特殊健康診断を受けさせている事業場は「受けさせたことがある」を含めても20%にすぎなかった。最近の有所見率は 17.0 %であった。

(2)作業者個人へのアンケート結果

@アンケート調査に応じた 565 人の男女比はほぼ半々であった。複数回答で得たVDT作業の内容はデータ・文章の入力が最も多く89%、次いで文章・表等の修正を 75 %が行っていた。

A作業環境の訴えで多かったのは「換気が弱すぎる」で 31 %が訴え、次いで「作業スペースが狭すぎる」を28%が訴えていた。

BVDT作業による自覚症状として最も多いのは「目の疲れ」で、「いつもある」は35%、「時々ある」は 48 %で、両者を合せると 85 %の人が訴えている。
次いで「目がかわく」が 52%、「物が見えにくくなる」が 50 %とつづいた。

CVDT作業者で一般健康診断を受診したものは 96.8 %であるが、VDT特殊健康診断を受診した者は「過去に受診」を含め12%しかいなかった。VDTの労働衛生教育を受けた者も 12 %に止まった。

(3)VDT作業環境調査結果

@7 事業場の 24 部署でとられている作業環境対策は、作業環境管理では、騒音対策が最も多く、ほぼ100 %に近く、次いで喫煙対策が 96 %、ブラインドなどの輝度低下対策等がよくとられていたが、温湿度・換気や照明器具のグレア防止対策は少ない。作業環境の維持管理はVDT作業者に委ねる例が多かった。

A空気環境については湿度が低く過乾燥状態が多かったが、室温、一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度につては、すべて良好な状態にあった。

B個々のVDT機器については 24 部署にある 229 台について表1・図1の結果を得た。
 
表1 VDT機器の作業管理の状況

図1 VDT機器の作業管理の割合


C電磁場の強さは上述の作業環境管理状態を調査したVDT機器について作業者の位置、コンピュータの後面・左側面・右側面で測定し、それを日本産業衛生学会許容基準値及びIARC2B基準値(0.4μT)と比較し、その基準を超える割合を算出した(表2)

表2 VDT作業環境の電磁強度測定結果

4 まとめ
 宮城県下のVDT作業を行っている 103 事業場について、アンケートによるVDT作業管理の状況とともに、実際に作業環境調査を行い、とくに電磁場の強さを測定した。その結果、VDT作業者のばく露される電磁波の強度は日本産業衛生学会が示した許容基準値を上回るものはなかったが、IARCが提示した0.4 μTを上回る強度が観察されており、我が国でも速急に新しい基準値の検討を行うことがのぞまれる。